土、日の2日間は午後2時から10時までの8時間公演。この夜の地下室は観客で満席となった。
最初のリクエストは『カッター~夜の学校にクトゥルフの呼び声~』。昨日に続き今回3回目の上演となる。観客も連日の猛暑に耐えかね、怪談を好むらしい。“3回目ともなったら好き放題に演じてやる!”と臨んだ東京ディスティニーの演技は2時間半に及んだ。今回はクトゥルフが登場すらせず、代わりに現れた“心の闇”と対峙するも、主人公は前回同様やはり友達になってしまう。こうなると4回目の上演が楽しみである。
その他、『行方不明者世界一周』『流刑地より愛を込めて~酒井のり子覚醒剤事件の真相~』等を上演。
また、『眠りの森のアンドローラ』から『マッチ売り少女』に続き『走れメロス』の3作連続という離れ業も披露。『走れメロス』の終盤以外すべてパントマイムで演じるという、声を出さず喉を労わるための演目とのこと。
今夜最初のゲストは、「猫道」。
イベントの企画進行・脚本・演出・音響プラン・パフォーマーなど様々な顔を持つ「猫道」さん。この夜は『大蛇を下さい』『石棺and the CITY』など、現実と想像が不可思議に絡み合う独特な歌詩のラップ曲を、抜群の滑舌で披露してくれた。小道具としてソフトクリームを仕込んでおく『溶け始める時間を食べる』の芸の細かさや、良く通る声、軽快なMCは役者経験の賜物であろうか。また、ラストの曲『海底渋谷区』は「第18回学生CGコンテスト・Campus Genius Award」で審査員賞を受賞した村上英恵監督作品「ぼくが行方不明」の主題歌である。東京ディスティニーが出演しているというこの映画是非観てみたい。
2人目のゲストは「LADY LILY」。
美大卒のアーティストで舞妓さん経験もあるという「LADY LILY」さんは、人形のようにキュートで小柄な女性。バレエを基礎に、即興で繰り広げられる操り人形のようなのパフォーマンスは、かわいいながらも何処か破滅的な香りがする。
途中で乱入してきた東京ディスティニーとの競演は、リカちゃん人形とゴシックなビスクドールが戯れているかの様で、東京ディスティニーの既に十分倒錯的な世界に、更に新たな倒錯的刺激を持ち込むこととなった。
(アートスタジオDungeon オーナー・戸野倉あゆみ)
PR