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地下室ブログ

板橋にある地下スペース「アートスタジオDungeon」で開催する展覧会やイベントの情報を発信します。

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《ファミっ子大聖堂》初日観覧記

女装一人芝居芸人「東京ディスティニーランド」主催・狂気の7日間連続公演《ファミっ子大聖堂~ぼくらの火の七日間戦争~》がいよいよ初日を迎えた。

舞台セットである真紅のベルベットの玉座、そしてそれを取り巻くように並べられたガラスの燭台に妖しく揺れる蝋燭の火が、開演を待つ観客の期待を否が応でも高めていった。



まずは東京ディスティニーランドの一人芝居。5月末に当地下室で行われた16時間一人芝居公演と同様に観客のリクエスト形式で始まった演目は『伝説のオウガバトル』。物語はおじいさんとおばあさんが桃を拾うところから始まる。月日は流れ桃から生まれた桃太郎は立派に成長し…。

むろん展開は昔話の桃太郎から次第に離れていく。東京ディスティニーランドが演じた役は、「おじいさん」「おばあさん」「桃太郎」「鬼」「浦島太郎」「花咲か爺さん」「こぶとり爺さん」「ポムじいさん」筆者が記憶している限りで9役。序盤の「おじいさん」と「おばあさん」のやり取りはまるで落語を観ているかのような風刺を利かせた洒脱な台詞回しで、この役者の力量とその安定感が窺われる。

RPGゲームやガンダム、ジブリアニメなどのサブカルチャー要素を軽妙に散りばめながら、物語は意外な方向に進み、そして一気に怒涛のカタストロフへと突入していく様は圧巻であった。「伝説の勇者桃太郎」を演じる「浦島太郎」を演じる「役者・東京ディスティニーランド」が役になり切って役の心情を体現しているのかと思えば、「東京ディスティニーランド」の役者として、また一人の人間としての魂の吐露とも見え、一観客として総毛だった。そして終盤、一転して静かに静かに、最初のシーンに戻ったかのように「おじいさん」「おばあさん」「桃太郎」の3人で終わる構成もさすがである。



白熱の演技で1時間20分という予想外のタイムオーバーの後は、「花枝聖と稲城の森バンド」による演奏が始まった。
東京稲城市を拠点に活動している「花枝聖と稲城の森バンド」。ボーカル・アコースティックギターの花枝聖、ベースの水野雄介、カホーン(ペルー発祥の箱型の打楽器)のサミーというシンプルなバンドの構成ながらダイナミックなライブを披露してくれた。
まるで真夏の太陽さながらの輝きをそのまま地下室に持ち込んだような、どこまでも明るく、楽しく、前向きな世界観は当スタジオ初でなかろうか。実は筆者には太陽の輝きを地下に持ち込みたいという願望があったので、うれしい限りである。「音を楽しみたい、観客と一緒に作る音楽を楽しみたい」という彼らの音楽はハートフルできらきらしているかと思えば、ソロ紹介のくだりでは「ギターって打楽器だったっけ?」と思わせるほど激しく、楽しく、真夏の太陽そのものパッション溢れるパフォーマンスとなった。
演奏曲は以下の8曲。
・ Happy day
・ リハビリ
・ 板橋でたぬきに会った
・ 大東京
・ 今しあわせ
・ 当たり前
・ Stand Up
・ 花



「花枝聖と稲城の森バンド」演奏後、再び「東京ディスティニーランド」の芝居で初日を終えることとなった。演目は「ブラドおぢさん」30分ほどの、彼のレパートリーの中では短い出し物であるが、密度は濃い。ファンの間での人気も高いのではないだろうか。この演目については次回リクエストがあることを期待し、あえてここでは語らないことにする。

初日からエンジン全開の《ファミっ子大聖堂~ぼくらの火の七日間戦争~》。残り6日間も東京ディスティニーランドは体力の続く限り、限界を超えてでも走り続けるであろう。
(アートスタジオDungeon オーナー・戸野倉あゆみ)


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