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地下室ブログ

板橋にある地下スペース「アートスタジオDungeon」で開催する展覧会やイベントの情報を発信します。

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記録魔 その9 終了致しました。

最終日に行われた関根さんの講義は予想していた以上にわかりやすく、90分にわたって聴衆を飽きさせませんでした。たぶん。

ほとんど数式は持ち出さず、動画やホワイトボードを使って丁寧に解説してくれ、気象の話やバタフライ効果の話などはたいへん面白く拝聴しました。
それでもやはり、カオス理論については総体として雲をつかむような印象であったのは、まるで数学の素養のない者には致し方ありません。

収穫は、講義後の質疑から、関根さんの庚申塔への興味が、数学的な関心と無縁ではないとわかったことでしょうか。
たくさんの庚申塔を記録したはてに見えてくるものがあり、その仕事はまだまだ途上にあるようです。いずれ発表されるであろう成果を鶴首して待ちたいと思います。



それにしても、関根さんの幅広い交遊関係のおかげか、会期中は連日たくさんの人と夜っぴてよく飲み、よくお喋りしました。

いわば毎晩庚申待ちをやっていたようなもので、これでは庚申塔をいくつも建立しなければならないと冗談を言っていたのですが、よく考えたら、はからずもあらかじめ「現代の庚申塔」を6基も建ててあったことに気づいたのでした。

関根さん、お疲れさまでした。
ご協力頂いた方々、ご来場頂いた皆様にもお礼申し上げます。



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記録魔 その8 関根正幸の「カオス理論講座」

前にもお知らせしましたが、最終日の8月3日に、関根さんの「カオス理論講座」を開催します。

関根さんの専門は位相幾何学だと聞いたような覚えがありますが、カオス理論はその専門と密接に関わるのだそうです。
ビデオ教材を使ってわかりやすく説明する、と仰っておりました。

どれだけ理解できるかわかりませんが、ふだん関根さんが先生としてどんな感じで講義をしているのか、といったことも楽しみです。

17時から開始を予定しておりますので、みなさまぜひ足をお運びください。



記録魔 その7 蟻鱒鳶ル

蟻鱒鳶ルのコーナーは、部屋自体を蟻鱒鳶ルに見立てて、関根さんの写真を鑑賞できるようになっています。
置いてある単管パイプも鉄筋も土嚢もすべて岡さんの現場からお借りしてきました。

展示しているのは、写真ばかりではありません。
現在、蟻鱒鳶ル3階の壁の一角が庚申塔の図像で飾られています。
関根さんの写真を元に岡さんが線彫りしたもので、そのコンクリを打つのに使った型枠をそのまま地下室へ持ってきて展示しています。




桃の木の枝を手にした愛らしい猿のまわりを雄鶏と雌鳥が取り巻く図柄は、まるで楽園のようです。
埼玉県鴻巣市箕田にある庚申塔とのことで、本展覧会のフライヤーにも使われました。



岡さんのブログに関連記事がありますので、ご一読ください。
蟻鱒鳶ル型枠選手権
昨日の作業

岡さんは11月に金沢21世紀美術館で開催される建築の展覧会に参加されるそうです。
関根さんの写真が活用されることがあるかも知れません。


記録魔 その6 現代の庚申塔

イベントも無事終わったので、展示作品について簡単にご紹介していこうかと思います。

庚申塔コーナーでは、関根さんの知り合いの現代美術家6名に「現代の庚申塔」というテーマで作品を制作してもらいました。

自由に作ってください、とお願いしたら、みなさんほんとに無手勝流に自由に作ってくれました。どの作品も一見とても庚申塔とは思えない形ながら、庚申塔のエッセンスをしっかりと汲み取っているのはさすがです。


今井紀彰「アスファルト道祖神」
現代のアーティストに庚申塔を作ってもらおうとしたとき、かつて十円玉でできた巨大な大仏の足を地下室に展示したことのある今井さんが頭に浮かんだのは自然なことでした。
アスファルトになった現代の往来に鎮座しているのは自動販売機である、というアイロニカルな解釈はなるほど腑に落ちます。

数ヶ月前に不慮の事故で大怪我を負った今井さんは、現在もリハビリのために入院中で、今回は無理を言って参加してもらいました。一日も早い回復を祈っております。



黒須信雄「虚裔(うつろのちすじ)による庚申的構成」
黒須さんは画家ですが、近年は木彫において新境地を開いています。
手に持てるぐらいの大きさの白木を彫って独特の「神像」を制作しており、現代の庚申塔を委嘱するにあたって、やはりすぐに頭に浮かんだアーティストでした。
どろどろとした坩堝の中身が固まりかけているかのようなフォルムは端的に美しく、混沌から秩序が生まれかけているようにも見えます。
それらが載っている六角形の台座は、60日に1度訪れる庚申の日に対応しているそうです。



タカユキオバナ×栃木美保「この道はいつか来た道」
入口で出迎えたキューピー人形が地下室の奥まで来場者を導いてくれます。
青面金剛像の体つきがなで肩で丸みを帯びた幼体である、というところからオバナさんはキューピー人形を着想したそうです。その人形が乗っている麻の帯を担当したのが栃木美保さん。
この帯の道は産道であると同時に、音の道でもあるそうです。来場者は希望すれば、任意の一音を選んで十六角形の紙に書き込み、帯の間に差し込むことができます。こうして展覧会の会期が終わるときには、一綴りの詩ができあがるのです。

オバナさんの仕事については、「現代詩手帖」の7月号に、詩人で足利市立美術館の学芸員である江尻潔さんがわかりやすく解説してくれています。


武田海「兎頭(ととう)」
そもそもこの展覧会を思い立った切っかけが海さんでした。
いつだったか、現代のアーティストに庚申塔を作らせるとしたら誰かと関根さんに訊ねたところ、海さんの名前を挙げたのでした。昨年の個展で発表した阿修羅/サロメ像が、青面金剛像に似ているというのです。そんな話をしたあたりから関根展が一気に具体化していったのでした。

今回の展示の中でとりわけ目立つこの作品は、正面から見ると巨大な男根ですが、裏にまわると兎、というダブルイメージになっています。作家自ら書いたキャプションによれば、ファルス中心主義を脱構築している、といったところでしょうか。


武盾一郎「線譜 庚申塔」
実際の庚申塔に刻まれた文字を、写真からトレースしてカリグラフィーを描き、さらにそれをポンジに印刷して幕に仕立てています。下の写真がその原画。
初めて地下室に来る人はたいがい道に迷うのですが、何人かの人がこの幕のおかげで遠目にすぐわかった、と言っておりました。この展覧会のメルクマール的な作品です。

その武さんが山根康弘さんとの対談形式で、メルマガの「デジタルクリエイターズ」に今回の展覧会評を書いてくれています。さすがに関根さんとは旧知の仲だけあって、その仕事や展覧会のコンセプトを的確に読み取ってくれています。
http://archive.mag2.com/0000005757/20140725120000000.html



戸野倉あゆみ「三尸の虫を食べる眠らない魚」
戸野倉さんはアートスタジオDunjeonのオーナーでもあります。
天と地の間で泳ぐ針金でできたモビールの魚たちは、タイトル通り三尸虫を食べてくれるのでしょう。
三尸とは庚申の日に人の体から抜け出し、その人の罪を天帝に告げ口するという虫です。告げ口されないようにその日には夜通し眠らず庚申待ちを行うようになり、その庚申待ちの記念に建てられたのが庚申塔なのです。




記録魔 その5 DJ、絵芝居、ライブドローイング

一昨日のイベントは、酷暑にも関わらずたくさんのお客さんにお越しいただきました。あれ以上人が入ったら熱中症になる人が出てきそうな、ぎりぎり程のよい盛況ぶりでした。

初っぱなは、ケージ、クセナキス、フェラーリ、モンポウといった現代音楽ネタによる関根さんのDJプレイ。
3台のCDプレーヤーとシンセサイザーを駆使し、使い終わったCDが床に山をなしていく光景は、音ばかりでなくヴィジュアル的にも風変わりで、いかにも関根さんらしいおもしろいものでした。




つぎがエモリハルヒコさんのオフビートな味わいのある絵芝居。
数分で唐突に終わる小品が多かったのですが、とぼけた絵柄と相俟って、思わず頬が緩んでしまいました。できればもっと長いものも観てみたかったです。




その後、Kujunさんのさすがに洗練されたDJがいい雰囲気を作り出し、



トリが鷹野依登久さんのライブドローイングと、関根さんのコンタクトマイクにエフェクタを噛ませたノイズとのコラボレーション。

派手で極彩色なものを勝手に想像していたのですが、白いアクリル絵具と鉛筆で描かれた、中山道をイメージしたドローイングは枯淡ともいえる渋いもの。関根さんのノイズも効果的に絡まり、仕上げに別の紙に描かれた道祖神(でしょうか)を貼り付けて、30分あまりで完成。

長野県出身の鷹野さんは中山道や道祖神が身近な存在だったそうで、ドローイングするその足元には、お父さんが彫ったという今ではすっかり摩耗した道祖神が置かれていたのが印象的でした。




最後に、鷹野さんが用意してくれた粘土を使って、みんなで道祖神や庚申塔を作りました。




今回の展覧会では、写真家としての関根さんのみならず、音楽家としての関根さんも窺い知ることができました。

残るは、本職である数学者としての関根さん。

いよいよ最終日の8/3に、関根さんの「カオス理論講座」を開催します。
はたして聞いて理解できるのか。ご期待ください。
たぶん17時くらいから始めます。



※印の写真は阿佐亮佑さんの撮影。ありがとうございました。


        
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