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地下室ブログ

板橋にある地下スペース「アートスタジオDungeon」で開催する展覧会やイベントの情報を発信します。

武田海 個展『 Loud Majority 』

11月17日から武田海さんの個展を開催します。

海さんは、ミシンで縫い合わせた布を人体に纏わせる精緻な立体表現で知られる彫刻家。
地下室には何度かグループ展などに出品してもらったことがあり、このたび満を持しての個展となります。

これまで作品を通して政治的なテーマに取り組んできた海さんですが、下に掲載した声明文を読むかぎり、今回の展覧会ではゆくりなくも大麻というものが重要なモチーフになっているようです。
昨今の政治情勢に絡めて大麻の問題が真摯に扱われていて、さながら「遅れてきたフラワーチルドレン」か「アップデートされたカウンターカルチャー」といった風情があります。




『 Loud Majority 』
 – ステートメント –

ここのところの日本政府の敷いた集団的自衛権や秘密保護法、共謀罪などの法制は(挙げればきりが無いが)はメディアを使った情報操作も相まり、日本は危険なファシズム的国家に退行しているかのようだ。まさに Loud Majority 的状態を呈している。
それを受け本展ではファシズムと医療大麻(=大麻=マリファナ)〔注〕を主軸に据え、女性性を纏う「縫う」彫刻での表現を中心に展開する。
国家の拘束力を無闇に高め民衆から言論や表現の自由を奪う政策は原発推進などと呼応しきな臭い20世紀前半的な匂いがする。他方日本古来の文化である大麻草は1948年、戦後GHQの科学的根拠を欠いた強引な法制の禁止に合う。日本人は大麻(=麻)を神事に用いたり衣食住医に渡りことのほか珍重してきた歴史がある。伊勢神宮のお神札は「神宮大麻じんぐうたいま」と呼ばれ正月に配られる。横綱の化粧回も麻で出来ている、麻の実(種)は食用油や食料として用いられ、日本家屋の茅葺き屋根にも麻は使われた。天皇が即位後に行う新嘗(にいなめ)祭である大嘗祭 (だいじょう)では麻(大麻)でお清めが行われる。敗戦直後、勝戦国アメリカは日本の大麻栽培、取引、所持を全て禁止した。米国の石油産業の隆盛を目論む資本的思惑だけでなく、日本人の精神的依り代を断つ目的で日本人と大麻を切り離したと言われている。現在の日本では大麻は 麻薬とみなされ不当な扱いを受けている。皮肉なことにアメリカでは大麻の価値が見直され、現在医療用では29州、嗜好用でも9州で合法化されてきている。日本政府には馬耳東風であるが...。
本展では、ファシズム的政情へのカウンターとして人間の心身に寄り添う医療大麻の世界的動静 を(大半の先進国では現在、医療大麻の合法化、嗜好用大麻でも非犯罪化が進められている)自由や平和、望まれる循環型社会の象徴として形作り(ベトナム戦争時のアメリカの若者達から世界に飛び火したヒッピーカルチャーなどの徴兵に反対するムーブメントや仏教ブームの起こりからもマリファナ(=大麻=医療大麻)と精神志向、平和志向の繋がりは見て取れる)、人間性と乖離を加速させる日本社会への違和感をあぶり出す。縫う彫刻に表出する「布」や「糸」などの知覚も手がかりに「分断し」「繋ぎ」空間を創出する。

〔注〕医療大麻については、昨今の欧米の研究で癌、アルツハイマー、リウマチなどによる疼痛、小児 癲癇、等280種以上の病に効果が期待できるとされているが、もともと中国の「神農本草経」 やインドのアユルベーダなどの4000年前の医学書からその効能が書き継がれている。日本で も戦前までは印度大麻チンキやぜんそく煙草などの呼称で庶民に親しまれていた経緯がある。

武田海


武田海 個展『 Loud Majority 』


■会期:2017年11月17日(金)– 12月4日(月)
■休廊日:火・水・木 ※23日(木祝)は開廊 
■時間:13:00 – 19:00

■レセプションパーティー
11月18日(土)18:00 – 20:00

■トークイベント
11月23日(木祝)18:00 – 19:30
武田海 × 毛利嘉孝(東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授


【武田海 プロフィール】
東京大染織科を修了後、作家としての経歴は1999年スペイン留学時代から始まる。社会問題と個人的表現の間に接点を見出し制作の幅を広げた。独自の素材という観点から日常的(社会的)な素材に手当たり次第着目し制作に結びつけてきた。帰国後2007年からは縫うという行為に着目し、人体表現をベースに縫った素材による布の彫刻を続けている。

1972 東京生まれ、1997 東京藝術大学大学院染科専攻修了、1999 マッサーナ美術学校(バルセロナ)。1998~2005 スペインに移住、バルセロナを拠点に、スペインの各都市、また欧州各地で作品を発表、2006 帰国。

[主なグループ展]
2012 「第15回太郎賞」(岡本太郎美術館、神奈川)、2011 「TAMAVIVAN II 2011」( 多 摩美術大学、パルテノン多摩展示場、東京)、2005 「バイスビエンナーレ」(バイス現代美術館、 スペイン)、2005 「ヴィックビエンナーレ」(カジノ、バルセロナ、スペイン)、2005 「Video Creacion」(ベルン現代美術館,スイス)、2003 「Miradas Oceanicas」(ヴィーゴ 現代美術館、ガリシア、スペイン)、2003 「Michelangero Pistoletto & Cittadellarte」(アントワープ現代美術館、ベルギー)、2003 「Discursion desviada」(カルドレ、オポルト、ポ ルトガル)、2003 「Artemergencia」(ジローナ国際演劇祭会場、ジローナ、スペイン)、 2000 「Generacion 2000」(マドリッド銀行主催、マドリッドを始めスペイン6都市を巡回)

[主な個展]
2014「エス」(ストライプハウスギャラリー(ホール)、東京)、2013 「IDEA」( ストライプ ハウスギャラリー、東京)、2010 「Play」(ギャラリーFURUYA、東京)、2004 「Melting P」 (ProyectoSD ギャラリー、バルセロナ、スペイン)、2003 「Retal」(サンチアゴコンポステーラ大学教会堂、ガリシア、スペイン)

[主な選出]
2012 「第15回太郎賞」入選 岡本太郎美術館 神奈川、2003 「アートインレジデンス CITTADELLARTE ピストレットファンデーション」イタリア、2002 「ミゲルカサブランカ賞」 名誉賞 バルセロナ、2001~03 「アートインレジデンス Hangar」バルセロナ、2000 「2000 世代展マドリッド銀行」彫刻部門大賞 マドリッド、1999 「若手クリエーターコンクール99 カタルーニャ」入選 バルセロナ

HPはこちら







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「影炎 Mirages」展は終了しました。

おかげさまで「影炎 Mirages」展は無事終了。 Bar「Dungeon」も盛況のうち店じまい。たくさんのご来場ありがとうございました。

会場で配布していたテキストを掲載しておきます。
執筆はインディペンデントでキュレーションなどをされているタムラマサミチさん。
展覧会のコンセプトをわかりやすく敷衍し、よい手引きとなりました。



「ろうそくの炎はこの宇宙のあらゆる法則に結びついているといえるでしょう」

科学者のマイケル・ファラデーが1848年と1860年のクリスマスに子供たちのために行ったろうそくの炎の実験講演は、この美しい一節から始まります。ファラデーは強いランプの光でろうそくの炎の影を映し出し、そのままでは目に見えない気流を陽炎として示すことで、私たちの住む地表を包む大気の存在へと話を広げていきます。

宇宙という真空の暗闇をまっすぐに進んでいく太陽光線は、そのままでは私たちの目に映ることはありません。それはやがて惑星を覆う大気に衝突することで、私たちが仰ぎ見る空として、あるいは夜空に浮かぶ星として、ようやく私たちの目に映るものとなります。それは上空で散乱して表情ゆたかな空模様を描き、ときには水滴で分散して空に虹をかけ、またあるときには屈折を重ねて空中に幻を浮かべます。地表まで到達したそれは、その通り道に陰影を刻みつけながら世界に形を与え、さまざまな物質との反射や透過を繰り返しながら世界に彩りを添えていきます。

一億5000万キロメートル先の太陽から約八分かけて地球へと到達する光子や光波という物理現象は、その旅路の終わりのほんの一瞬に、私たちの知っている光という心理現象に変わります。それ自体は目で捉えられない光の粒子や波は、私たちが気づくよりも一足早くこの世界を構成するさまざまな物質と出会い、そこで受け止められたものが私たちの目に映る光になります。見ることがいつも新鮮な驚きに溢れているのは、私たちの手の届くこの世界のはてしない複雑さが、決して手の届かない遥か遠くから照らされた光として、そこに束の間の姿を現しているからでしょう。

この天体規模の光のドラマの舞台を新たに創り出すかのように、「影炎」展は地下室の暗闇にろうそくと電球というふたつの光源を公転する天体のように巡行させます。酸素の燃焼により自ら発生させる気流の中心で揺らぎ続けるろうそくの炎は、より強くより安定した人工光源に照らされ、ファラデーの実験のように地下室の壁に陽炎を浮かび上がらせます。この空間はまた、まだ誰も見たことのないとある惑星系の模型ともいえます。私たちはその内側と外側を自由に行き来し、立ち止まれば天動説の世界を、再び歩き出せば地動説の世界を、ともに体験することができるでしょう。

そして恒星を囲む惑星のように、その周囲には光を受け止めるさまざまな仕掛けが置かれています。あるものは大気のように光を絡めとり空間にさまざまな表情を浮かび上がらせ、あるものは物質の豊かな複雑さを通じて光を無数の彩りへと変え、またあるものは直進する光線を交錯した軌道へと誘い込み光を躍動させます。この世界を駆け巡る光線に一定の姿を与えるそれらはいわば光の器といえるものでしょう。自然界にはないユニークな形で揺らめく光を受け止める光の器は、自らも揺らぐ光として、さもなければ私たちが見ることはなかった世界の姿を眼前に広げてくれます。

光と影、見えるものと見えないもの、形あるものと無形のもの、そしてそれらを密やかに結びつけているそこにある世界の広がりと奥行きを、地下室の暗闇を照らす様々な光から見つけだしていただけたら幸いです。
タムラマサミチ(TANA Gallery Bookshelf)



末尾ながら、クロージングイベントでの trio in quartet solo と舩橋陽さんの写真も。


(Photo : 関根正幸)



動画公開

千田泰広さんが撮影した記録動画を公開します。
尺は3分半ほどです。





作品紹介

この展覧会は参加作家である中島崇さんの企画によるものです。
たぶん地下室というロケーションからまず特殊照明家の市川平さんを思いつき、さらに市川さんの動く照明と組み合わせるべき作家を考えたのだと想像されるのですが、中島さんの炯眼はなによりそれぞれの資質を見極めたこの人選にあり、各作家の持ち味が見事に活かされた展覧会となりました。

アンビエントな展示の妙味を、写真や言葉でうまく伝えるのはむつかしいものの、一通りざっとご紹介しますと、


■市川平「ロウソク×プトレオマイオス号」
各作品に照明装置を提供した市川さんの、これは単独の作品。
火のついた蠟燭をLEDの灯りで照らしてその影を壁面に映すといういたってシンプルな仕かけながら、物質ならざる炎という現象の影をかつてこれほどちゃんと見たことがなく、その幻のような幽さは得もいわれぬ神秘的なものでありました。





■竹中美幸「光. 闇. 芋.」
竹中さんは色とりどりに感光させた35ミリフィルムを素材にしており、フィルムを透過した多彩な光が壁や天井に映し出されます。
タイトルにある「芋」は、シュヴァンクマイエルの『地下室の怪』という映画に由来するそうで、感光させるとき実際にフィルムの上にお芋を置いてみたりしたらしく、その痕跡はくっきりと残っています。






■千田泰広「Light print D」
回転する照明の動きにつれて、床に散りばめられた鏡の破片が、その光を壁に反射させます。一見ランダムのようでいて、鏡の配置は周到に計算されており、CGと見紛うイメージが投影されます。




■千田泰広「0.04」
天井から吊るされた装置の直径2ミリ程の穴から間歇的に水滴が垂れるようになっていて、その穴の内側から強烈な光を当てることで、水滴がレンズとなり、どこか宇宙的で不思議な像を床面に作り上げます。これは千田さんの単独の作品。





■中島崇「VALVE」
幕のように一面に張り渡されたストレッチフィルムの前を、市川さんの照明が水平に往還することで、その影がカーテンを引いたようになめらかにスライドします。
中島さんはストレッチフィルムという素材を熟知しており、何層にも重ねることで、細密で存在感のある陰影を生み出しています。






イベントのお知らせ

最終日の24日に、サックス奏者の舩橋陽さんなどをお招きしてライブ・イベントやります。

今回の展示は、静寂の中、長いこと佇んでじっくりと作品を鑑賞される方が多いのですが、もし音楽が流れていたら、もっと違う表情を見せてくれるのではないかと思わせるところがあり、このライブ演奏が場にどんな変容をもたらすのか、かなり興味をそそられます。

「影炎 Mirages」展 closing live
噪音の器と気鳴の筒

2017年9月24日(日)
17:00 start
料金 : 投げ銭制

【演奏】
trio in quartet solo
舩橋 陽



Bar「Dungeon」も好評営業中。
国旗をイメージして、千田さんが考案したオリジナルカクテル「オーストリア」もぜひ。







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