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地下室ブログ

板橋にある地下スペース「アートスタジオDungeon」で開催する展覧会やイベントの情報を発信します。

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作品紹介

どちらかというとアクの強い展示が多い地下室ですが、河田さんはその対極にあるような作風。
鑑賞のための取っかかりがあまりに少なくて、とまどう来場者もちらほら見受けられました。

本展は二つの映像作品を中心に、小さな平面作品や音などで構成されています。

まず壁に大きく投影されたビデオ作品「真昼の夢」。
大画面の前に佇んでしばらく眺めていても、ヴィジュアルというべきものはほとんど見えません。ときおり赤や黄色がにじむように浮かび上がるのが辛うじて認められるばかり。
画面の脇にはペイントをほどこされたポストカードがひそやかに展示されています。
会場の一隅に置かれたラジカセからは、屋外でフィールドレコーディングされたガヤ音が流れています。




別の部屋のビデオ作品「事の次第」は、小さく投影されています。
低めのポジションから路面をとらえたフィックスの映像がえんえん続き、画面の中はやはりほとんど変化がなく、たまに落葉が風に舞ったりするくらい。
ここでも葉の形に切り抜かれたポストカードが数点壁に貼られ、ラジカセからなにかを朗読しているような声が聞こえてきます。





平面作品には、すべて今回の展覧会の案内ハガキが使われています。
彩色されたり、切り抜かれたり、削られたり、貼り合わされたりしたものを20点ばかり、会場のここかしこに余白をたっぷりとって配置。
テーブルに置かれた2台のラジオからは、始終チューニングのわずかにずれた放送が小さく絞られた音量で鳴っています。






映像といい平面作品といい音といい、いずれも現代美術ではありふれた形式ですが、鑑賞者をとまどわせるのは、作家の手の痕跡が最小限にとどめられているからでしょう。
作品として成立するぎりぎりのところで、絶妙なバランスを保ちながら、積極的な意味を発することなく嫋嫋と空間に作用しています。

おそらく河田さんはここで、美術の制度や作品行為について、前衛としてラディカルに問うているのではなく、また作家性を手離しているわけでもありません。
これまでの作品を知っているひとには、落葉にしろ、聞こえてくる音にしろ、間の取り方にしろ、いかにも河田さんらしいセンスで隅から隅まで統御されていることがわかります。

河田さんの作りだす環境をよりよく体験するには、音楽のアナロジーで考えるほうがわかりやすいかもしれません。
たとえば、イーノが『ミュージック・フォー・エアポーツ』など一連の音楽で試みているコンセプトを美術という領域でやれば、それは河田さんの作品のようになるのではないかと思われます。

(※印以外は河田政樹さんの撮影)

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河田政樹「真昼の夢」「事と次第」

長かった酷暑もようやく去り、秋の気配が感じられるようになりました。
10月の地下室では、河田政樹さんの個展を開催致します。

河田さんはペインティングや写真や音、ときには鉢植えやベンチなど、いろいろなメディアを用いたインスタレーションで知られる作家です。
美術館やギャラリーという空間に、独特な手つきで、美術と美術ならざるものとの境界を動揺させるような環境をつくりだします。

河田さんのその独特な手つきを一言で言うとすれば、「慎ましやか」となるでしょうか。
とにかく余計なことはやらない、という印象。
それがよくわかるのは、今回の作家自身がデザインしたDMです。
必要最低限の情報しか記載せず、ヴィジュアルすら削られて、両面が宛名面になっています。
表裏それぞれでタイトルを変えているのが、ちょっとレコードみたいでおもしろい。

本展では、どうやら映像を使うようですが、地下室のようなクセの強い空間を、河田さんがどのようにアレンジするのか、とても興味があります。




河田政樹「真昼の夢」「事と次第」


■会期:2018年10月12日(金)– 14日(日)
                19日(金)– 21日(日)

■時間:13:00 – 19:00


【略歴】
1973 東京都生まれ
1999 多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻油画研究領域修了

主な展覧会
2018 「加藤学×河田政樹 Vol.2」(藍画廊/東京)
2013 「子育てと美術」(藍画廊/東京)
2012 「実生の庭」(GALLERY CAPTION/岐阜)
2012 「ファン・デ・ナゴヤ美術展2012 緘黙する景色」(名古屋市民ギャラリー矢田/愛知)
2011 「誰かの鳴らす音」(ゲルオルタナ/東京)
2011 「Kontrapunct」(GALLERY CAPTION/岐阜)
2010 「建築家 白井晟一 精神と空間」(群馬県立近代美術館/群馬)
2010 「background」(藍画廊/東京)
2009 「よりみち・プロジェクト - いつものドアをあける」(GALLERTY CAPTION、psnd、他/岐阜)
2008 「つきかげ」(GALLERY CAPTION/岐阜)
2007 「ニュー・ビジョン・サイタマ III」(埼玉県立近代美術館/埼玉)


河田政樹HP








『カマキリの夜』公開決定

夏の間、地下室はお休みしておりますが、ちょうど去年のいまごろ地下室で撮影していた中川究矢監督・脚本の映画『カマキリの夜』の公開が決まったとのこと。
「反戦二部作」として同時期に製作していた『アメリカ』とのカップリングで上映されます。

『カマキリの夜』は、けったいで烈烈とした映画です。
先の戦争の遺物である不発弾が地下室に祀られ、歪んだ憂国の情の発露が描かれています。
『アメリカ』はまだ観ていないので、二部作として観るとまた印象が変わってくるかもしれません。

連日イベントもあるそうなので、みなさまぜひ劇場へ足をお運びください。

公式サイト


2018年8月25日(土)〜8月31日(金)
渋谷UPLINKにて1週間限定公開!

[上映日時]
■8月25日[土] のみ 18:15〜
 上映後、出演者・スタッフによる初日舞台挨拶開催!

■8月26日[日]〜8月31日[金] 21:00〜
​ 連日イベント開催!

■料金 一律¥1,400

[​上映会場]
渋谷UPLINK





飯沢耕太郎:展覧会評「竹輪之木乃伊御開帳」

写真評論家の飯沢耕太郎さんが、先月地下室で開催した後藤元洋さんの展覧会のレビューを書いてくれています。
artscape2018年06月15日号

短いながらもとり上げてもらうのは嬉しいものですね。
飯沢さん、ありがとうございました。

お二人は、飯沢さんが写真誌『デジャ=ヴュ』の編集長をされていた90年頃からのつきあいとのこと。
ネット上では後藤さんについて書かれたこんなテキストも読むことができます。
併せてご一読ください。





動画公開

2日間のパフォーマンスを15分ほどの動画にまとめました。ご覧ください。






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