忍者ブログ
Home > 記事一覧

地下室ブログ

板橋にある地下スペース「アートスタジオDungeon」で開催する展覧会やイベントの情報を発信します。

展示作品の紹介

■「オクルミ」
生野毅 × 黒須信雄

円形に屹立する12本の角柱。外側には黒須さんにより彫刻が施され、内側には生野さんが手ずから詩をしたためた紙が垂れ下がっています。
卒塔婆を想起させるからか、あるいはサークル状のせいか、なにかの宗教儀礼のようにも感じさせます。






■「白日萬里隔」
田野倉康一 × 川田夏子

川田さんが描いた枯淡な趣のある一双の日本画に、田野倉さんが自作の漢詩を書き添えています。
田野倉さんは奇をてらったことはせず、きわめて真っ当な画賛をやりたかったそうです。
浅学にして漢詩の評価はできませんが、字の風情、墨の濃淡など、なかなか瀟洒です。







■「ヨ」
言水ヘリオ × タカユキオバナ

このコンビは、今回例外的にどちらも詩人ではありません。
長らく美術関係の出版に携わってこられた言水さんと、言葉を重要なモチーフとして制作するオバナさん。お二人は最近ユニットを組んでいるそうです。
鏡の中心には「ヨ」の文字が刻印され、天井からの照明を受けて、強烈な光が見るものの眼を射ます。





■「うつしかけろひ」
江尻潔 × 藤白尊

藤白さんは「天津神算木」という古神道の思想を援用した色彩理論の絵画的実践で知られています。
壁から吊るされた6個のトイレットペーパーは、絵具を塗布した掌で握りしめることにより彩色され、その芯には、筒状に丸めた江尻さんの詩が添加されています。







■「ダンジョン」
広瀬大志 × 宇野和幸

壁一面を覆う絵画作品が、この一角を広瀬さんの詩にふさわしいゴシック的世界に仕立てあげています。
宇野さんの目論見は、地下室の壁に擬態すること。
それによって、壁の裏に広がる不可視の領域にまで想像をかきたてられます。







■「地下室の湖」
そらしといろ × 蒜山目賀田

20代のコンビによる、段ボールを支持体とした作品群。
「地下室の湖」という詩的感興をそそるテーマでそれぞれ詩と絵画を数点ずつ制作し、それを自由に組み合わせて、会場のここかしこに点在させています。








■「彼はもうここにいない」
川口晴美

当初は相磯桃花さんとのコラボレーションのはずでしたが、生憎相磯さんが出品できなかったため、単独での作品となりました。
地下の一室に、幽閉された詩人の書き綴った反故が巻き散らかされています。
最終日、川口さんがその作中人物と化したかのように、この場所で詩を朗読したのは前述の通りです。





PR

イベントの報告 その2

おかげさまで「ポエトリー・イン・ダンジョン vol.1 直角はありません」は、連日盛況のうちに会期を終えました。たくさんの方にご来場いただき、ありがとうございました。

引き続き、4日目のイベントからご報告します。

広瀬大志さんのリーディングは、宇野和幸さんとのコラボ作品の前で行われました。
壁から文字が滲み出てくるような殺伐とした絵の前で、恐怖を煽るような演出は必要ありません。声の抑揚と強弱だけで、広瀬さんは聞く者に沁みいるような凄みを感じさせていました。




ついで、そらしといろさんのリーディング。
ケレン味のない素直な朗読には清新な魅力があって、シンプルながらもことのほか感銘を受けました。




そして、永澤康太さんのボイス、山川英毅さんの自作楽器などの演奏、玉塚充さんのパフォーマンスという豪華版。
永澤さんの近年の詩は、声に出すことを前提に作られています。
永澤合唱団をはじめとするその声の実践は、音楽的に洗練させていくというより、発声することへの素朴な喜びが感じられます。
この日はラップが中心。山川さんの応変な伴奏と玉塚さんの奇矯なパフォーマンスを得て、のびのびと思う存分に声の妙技を披露してくれました。

※※




最終日もヴァリエーションに富んだラインナップでした。

最初はタカユキオバナさんのリーディング。というよりこれもパフォーマンス。
美術家のオバナさんに朗読を依頼したのは、その作品にしばしば「音(おん)」というものが重要な要素として扱われているからです。
地下室の入口で、記紀神話に由来する「おのころ」という言葉を朗誦すると、オバナさんは床に這いつくばり、客席のある一番奥の部屋に向かって、丸まった包帯に息を吹きかけ始めました。
転がる包帯はやがて一筋の白い線をつくり、この息の軌跡こそがオバナさんの「朗読」なのでした。




川口晴美さんは緑色のウィッグをつけて登場。
詩の綴られた細い紙を、あたかも蜘蛛が巣を作るように部屋に貼りめぐらせながら、透明感のある声で朗読されました。
川口さんは、地下室に幽閉されたとおぼしき詩人が詩をしたためていたという設定でインスタレーションを展示しており、その展示空間の中に自ら入り、登場人物としてリーディングを行うことで、作品を完成させたのでした。




大トリは、石田瑞穂さんの朗読に、Aramの村岡佑樹さんと野澤夏彦さんのツインギター、それにレンカさんの踊りが加わります。
即興でありながら、声と音と身体という3つの要素が過不足なく混じりあう見事なアンサンブル。最後を飾るにふさわしい、見ごたえ聞きごたえのあるステージとなりました。






(※は池田敬太さん、※※は言水ヘリオさんの撮影です)


イベントの報告 その1

初日のイベントは田野倉康一さんのリーディングで幕を開けました。
つい最近まで朗読はしない主義だったという田野倉さんは、前口上もそこそこに、地下室のために書いてくれた一編の詩を、滋味深い声で、さらりと読み上げてくれました。




ついで言水ヘリオさんのリーディング。というよりパフォーマンス。
そもそも言水さんは詩人ではないのに行きがかり上朗読する羽目になったのでしたが、活字をランダムに拾って黙々と印字し続け、最後に文字が羅列した紙を燃やすという奇計を用いて、ミッションを遂行しました。





この日のトリは生野毅さんとダンサーの秦真紀子さんのコラボレーション。
生野さんの朗読は、まるで一人芝居のようなたいへん熱のこもった独特なもので、それが秦さんの凜として抑制の効いた踊りとよく調和し、相乗的な興趣をもたらせていました。
二部構成の後半では哀悼をモチーフとし、お母さんを亡くされて間もない生野さんは、やはりこの10月に逝去された入沢康夫さんの詩を朗読されていました。






2日目は、詩人で足利市立美術館次長の江尻潔さんと田野倉康一さんの対談。
本来は詩人で出光美術館学芸員の柏木麻里さんも参加される予定でしたが、残念なことにインフルエンザに罹られた由。
まず江尻さんによる石笛の演奏と詩の朗読があり、その後のトークで、江尻さんの詩人としての資質がいかに学芸の仕事に影響を及ぼしているかを、田野倉さんが巧みに聞きだしてくれました。





このたび、参加された8名の詩人のみなさんには、地下室についての詩を委嘱しました。
書き下ろしてくれたその個性あふれる直筆原稿も展示しています。

また、会場では参加詩人の詩集や関連の書籍などを販売しています。
詩人の本分はやはり詩集。
意匠を凝らし、丹精込めて作られた詩集は、オブジェとしてただそこにあるだけでも美しいです。
在庫の希少なものもありますので、ぜひお早めにお買い求めください。





ポエトリー・イン・ダンジョン vol.1 「直角はありません」のお知らせ

12月の地下室では、「ポエトリー・イン・ダンジョン」と題して、詩のイベントを開催いたします。

思えば、戦後の日本美術の傍らにはつねに詩人がいた、というイメージがあります。
詩人が先導したシュルレアリスムの影響や、瀧口修造という存在も少なからず寄与していたと思われますが、詩人が美術評論を手がけることはごく自然で、詩画集をはじめ詩人と美術家による優れた共同作業は枚挙にいとまがなく、自分もそこから文化的に大きな感化を受けてきました。
同様のことは舞踏や現代音楽などについてもいえるかもしれません。

でも最近は、心なしかそういった関わりあいが薄くなっているような気がします。
こちらが知らないだけで実際のところはわかりませんが、そんな個人的な印象から、詩人と異分野のアーティストが交流するような機会を作ってみたいと思うようになりました。

「ポエトリー・イン・ダンジョン」は詩のイベントです。
若手から中堅どころの、いずれも堅実な仕事をしてこられた才気あふれる詩人たちが、美術や踊りや音楽という領域で活動する粒よりのアーティストたちとコラボレートします。
言葉を操る詩人が、他のジャンルと交錯することで、どのように拡張していくのか。
そんなことを不定期のシリーズで試みていきたいと考えています。

その第一回目となる「直角はありません」というタイトルは、川口晴美さんの創案によるもの。
川口さんが地下室へ下見にいらしたとき、オーナーの戸野倉さんから「ここは壁も床も歪んでいて、直角なところがひとつもないんですよ」と説明されたのが印象に残り、詩に使おうと心に留めていたそうです。
含蓄のあるよい言葉だと思い、使わせていただきました。



ポエトリー・イン・ダンジョン vol.1
「直角はありません」


【開催日/時間】
12/1(土)、2(日)、7(金)、8(土)、9(日)
13:00 – 19:00


【展示】
生野毅 × 黒須信雄(画家)
田野倉康一 × 川田夏子(日本画家)
言水ヘリオ × タカユキオバナ(現代美術家)
江尻潔 × 藤白尊(画家)
広瀬大志 × 宇野和幸(画家)
そらしといろ × 蒜山目賀田(画家)
川口晴美 × 相磯桃花(現代美術家)


【イベント】
各日17時から

12/1(土)
[リーディング]  田野倉康一、言水ヘリオ
[パフォーマンス] 生野毅 × 秦真紀子(ダンス)

12/2(日)
[トーク]+[リーディング]
柏木麻里(出光美術館学芸員) × 江尻潔(足利市立美術館次長) × 田野倉康一(司会)

12/8(土)
[リーディング]  広瀬大志、そらしといろ
[パフォーマンス] 永澤康太 × 山川英毅(ボーカリスト/作曲家) × 玉塚充(パフォーマー)

12/9(日)
[リーディング]  タカユキオバナ、川口晴美
[パフォーマンス] 石田瑞穂 × 村岡佑樹(ギター) × 野澤夏彦(ギター) × レンカ(踊り)






作品紹介



この展覧会について記すにあたり、「アニメーション」を「アニメ」と省略することに、どこか抵抗感をおぼえました。
今回の出品作が、技術的な巧緻と洗練を極め、エンターテイメントとして確立された「アニメ」とは異なる可能性を志向しているからだと思います。

「動く絵」が持つ原初の豊かさに触発され、そのポテンシャルを規格はずれの力技で他の領域にまで拡張させている、ということが本展の特徴だと言えそうです。


■湯川静 & Murderous Ink
湯川さんたちが作っている同人誌『ビンダー』を読めばわかるように、お二人のアニメーションへの造詣は深く、映画史的な観点からサブカル的な側面にいたるまで幅広くフォローしています。
そんな二人の作品は、ダダイストとして知られるハンス・リヒターが1920年代に制作したアニメーション『リズム』を、2台のプロジェクタで投影するというもの。
幾何学的・抽象的なアニメーションを重複させることで、交響曲のような複雑な深みを生み出しています。
ブゾーニから対位法を学んだリヒターもまた、「動く絵」の可能性に着目した最初期の一人なのでした。


『Re : Rythumus 21 & 23』


■Makoto Sugawara
コンピュータグラフィックスを本業にしているMakotoさんが、一方で、パラパラ漫画や折り紙やモビールといったプリミティブな表現を堅持しているというのは重要なことだと思っています。
そのバランス感覚は、どこかMakotoさんがつくるモビールのユーモラスなキャラクターたちのように飄々としています。


『光の人々』


『影の人々』


『色の動物』


■松本力
松本さんがつくるアニメーションの、野蛮とも愚直ともいえる大胆さには畏怖の念すらおぼえます。
「絵が動く」ということへの褪せることのない驚き、一途な執着といったものが感じられます。
VOQさんとのコラボレーションからもわかるように、松本さんのアニメーションが音楽と強い親和性があるというのは、かなり本質的なことに関わるのかもしれません。


『52 Specters/yona』


『やわらかい目 かたい目』


■永岡大輔
最終日のトークを拝聴し、ドローイングアニメーションから「球体の家」プロジェクトへの移行には必然性があると腑に落ちました。
永岡さんのテーマは「線を引く」ことです。
痕跡や軌跡といったものが内包する時間や歴史への関心が、一見かけ離れた二つの仕事を繋げています。
永岡さんの使う比喩で言えば、線を引く道具であるボールペンの、先端のボールに住む、という発想が「球体の家」なのです。


『The First House』

※※
『The Sphere House』
『最初の家 定点記録』
『The First Supper』


トークイベントの永岡大輔さん

(※は松本力さん、※※は関根正幸さんの撮影です)


カレンダー

10 2019/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
18 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

フリーエリア

最新コメント

プロフィール

HN:
junken
性別:
非公開

バーコード

ブログ内検索

P R

忍者アナライズ