関根正幸さんをご存知でしょうか。
もしその名前に覚えがなくても、どこかのギャラリーやイベント会場や酒場の片隅で、涼しい顔をして写真を撮っている姿を見かけたことがあるかも知れません。
関根さんの本業は、複数の大学で数学を講じる数学者。
であると同時に、風のように自転車を駆って、あまたのアートスペースに神出鬼没し、愛用のコンタックスG1で写真を撮りまくる記録魔でもあります。
その行動範囲は都内に留まらず、あるときなどは栃木県の美術館で当たり前のように撮影している関根さんと出くわしたこともあり、最近ではどんな意外な場所で関根さんに会ってもあまり驚かないようになりました。
そんな関根さんが撮った膨大な量の写真は、時おり被写体となった人にそっと進呈されるほかは、ほとんどが人の目に晒されることもなく、きちんと整理されることすらなく、ただ溜め込まれているらしいのです。
なぜ記録するのか。その情熱はどこからくるのか。
超俗とした雰囲気の関根さんに尋ねても、明確な言葉は返ってきません。
それならば、関根正幸という人物を解明するために、展覧会を企画してしまおうと思い立ったのが、地下室にて来月から開催する「記録魔 ー関根正幸のお蔵出しー」展です。
本展覧会では、関根さんのライフワークを3つの柱に分けて構成しています。
【アートドキュメント】
20年にわたり、有名無名、規模の大小を問わず、自分の琴線に触れた展覧会やパフォーマンス、ライブ演奏などを撮り続けています。
さらにその関心はアートの範疇からはみ出して、東大駒場寮闘争、渋谷の宮下公園問題、反原発デモなどにも及び、アクティビストたちに寄り添いながら、その活動を記録し続けています。
【蟻鱒鳶ル】
建築家の岡啓輔さんが三田に建設中のコンクリートの自邸「蟻鱒鳶ル」を、着工当時から撮り続けています。
セルフビルドのため10年に垂んとする現在も未完成。当初はいろいろな写真家が出入りしていましたが、一人また一人といなくなり、今に至るまで一貫してその建設のプロセスを撮り続けているのは関根さんだけだそうです。
【庚申塔】
関根さんは知る人ぞ知る庚申塔の研究家でもあります。
そもそもは中山道に対する地理的な興味があって調査するうち、街道で出会った庚申塔へ興味の軸足が移っていったとのこと。埼玉東京を中心に、ときには東北や西国にまで足をのばして記録した庚申塔の数は数千に及ぶそうです。
今回は本人が撮った写真ばかりでなく、友人たちとのコラボレーション、委嘱作品などによって、より多角的に関根さんの仕事に照明をあてようと考えております。
その詳細は追ってまたご紹介致します。
会期 2014年7月19日 〜 8月3日(土日祝のみ)
時間 13:00 〜 19:00
※7月19日の18時からオープニング・パーティー
※7月26日に イベントを予定しています。
[参加アーティスト]
あらかわあつこ 今井紀彰 エモリハルヒコ 岡啓輔 Kujun 黒須信雄 鷹野依登久
タカユキオバナ×栃木美保 武田海 武盾一郎 戸野倉あゆみ 富永剛総 広瀬勉
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