「なぜ竹輪なのか」と問えば、「私が竹輪を選んだのではない。竹輪が私を選んだのです」と、後藤さんはお答えになりました。
このたびが4回目となる、5年に1度のありがたい開闢の儀式は、大過なく無事に執り行われました。
竹輪の紋が入った白い法被に白い褌姿の後藤さんが、しずしずと地下室へ降りてきて、時おり鉦を鳴らしつつ、手にした竹輪のお導きに従って拝殿へと辿り着きます。
福島第一原発の作業員も使用しているという防護マスクを被っているのは、額にCCDカメラを装着するため。立会人の方々は別室の壁に投影された映像を通してしか、ここから先の儀式を観ることはできないのです。
電波の悪い、荒れた映像を食い入るように観ていると、金庫の封印が解かれ、ご神体である竹輪の木乃伊が取り出され、祭壇に祀られて、15分ほどで開闢式は滞りなく終了。
その後、拝殿は参拝者に開放され、奥に鎮座ましましたお竹輪様を拝観できるようになりました。
陰陽一揃いになった竹輪の木乃伊の見目形は大層すばらしいもので、その佇まいからはなんとも名状しがたい有難さが感じられました。
今回参拝されなかった方は、5年後まで観られないのですから、実に勿体ないことです。
ついでに無粋を承知で言えば、この一連の儀式やご神体の造形、祭壇の造作など、細部に至るまでなかなかによくできていて、宗教というものの持っているエッセンスが巧みに抽出されているのではないかと思います。
開闢式のあとは、鏡割りと大宴会。
一斗の樽酒も、赤羽の丸健水産で調達した大量のおでんも、集まった50人ばかりの酔狂な人たちによって、あっという間に平らげられてしまいました。
巫女を務めてくれたのは、後藤さんの教え子の主代奈津美さん、19歳。
今度初の個展をするそうです。
宴会の合間にも御札を売るのに余念がない商売熱心な教祖様
翌々日には、締めくくりとなる結願式が行われました。
お竹輪様は再び金庫に納められ、しっかりと封印されました。
次回5年後は、後藤さんの還暦にもあたり、さぞや盛大なものになるでしょう。
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