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地下室ブログ

板橋にある地下スペース「アートスタジオDungeon」で開催する展覧会やイベントの情報を発信します。

武田海 個展『 Loud Majority 』

11月17日から武田海さんの個展を開催します。

海さんは、ミシンで縫い合わせた布を人体に纏わせる精緻な立体表現で知られる彫刻家。
地下室には何度かグループ展などに出品してもらったことがあり、このたび満を持しての個展となります。

これまで作品を通して政治的なテーマに取り組んできた海さんですが、下に掲載した声明文を読むかぎり、今回の展覧会ではゆくりなくも大麻というものが重要なモチーフになっているようです。
昨今の政治情勢に絡めて大麻の問題が真摯に扱われていて、さながら「遅れてきたフラワーチルドレン」か「アップデートされたカウンターカルチャー」といった風情があります。




『 Loud Majority 』
 – ステートメント –

2015年最愛の母が癌で他界した。直接の死因は抗がん剤の過剰投与による免疫不全の引き起こした肝不全だった。長年男性社会と戦い続けた慰安婦問題研究家の母の闘病は一年であっけなく幕を閉じた。画一的な抗がん剤投与治療への違和感や怒りを覚えている時に医療大麻の存在に行き当たった。

本展ではファシズムと * 医療大麻(=大麻)を中心的主題に据える。人間の身体を機械的に統制し管理する政治形態に対し、癒しを与える薬草における自然科学との二項対立をテーマとした。

国家の拘束力を無闇に高め民衆から言論や表現の自由を奪う政策は原発推進などと呼応しきな臭い20世紀前半的な匂いがする。非人間的な政治システムの咆哮にすら聞こえる。ここのところの政府の敷いた集団的自衛権や秘密保護法、共謀罪などの法制(挙げればきりが無いが)はメディアを使った情報操作も相まり、日本は今危険なファシズム的国家に退行しているかのようだ。 他方、日本古来の文化である大麻草は、大麻(=麻)を神事に用いたり衣食住そして医療に渡りことのほか珍重してきた歴史がある。伊勢神宮のお神札は「神宮大麻じんぐうたいま」と呼ばれ正月に配られる。横綱の化粧回も麻で出来ている、麻の実(種)は食用油や食料として用いられ、日本家屋の茅葺き屋根にも麻は使われた。天皇が即位後に行う新嘗(にいなめ)祭である大嘗(だいじょう)祭では麻(大麻)でお清めが行われる。しかし、第二次大戦後1948年以降、勝戦国アメリカは日本の大麻栽培、取引を全て禁止した。日本人の精神的依り代を断つ目的で日本人と大麻を切り離したとも言われている。現在の日本では大麻は麻薬とみなされ悪者にされている。昨今医療用を中心に解禁が進んできている西洋はというと、1840年インドからイギリスに渡った大麻は欧米全土に広まった。大麻に関する研究も盛んになされ1930年代アメリカでは医薬品の約半分が大麻だったとの記録も残されている。だが1937年アメリカの大麻課税法(禁止法)をきっかけに大麻は世界中で禁止される。原因は諸説あるが、石油メジャーの勃興期にあり、医療や燃料、建材にもなり容易に大量に栽培できる万能植物の大麻草は邪魔者扱いされたというのも一因であろうか。

ファシズム的政情に対するカウンターとして、自由や平和、望まれる循環型社会のメタファーとなる医療大麻の世界的リバイバルの動静(大半の先進国では現在、医療大麻の合法化、嗜好用大麻でも非犯罪化が進められている)を提示し、人間性と乖離を加速させる日本社会への 違和感をあぶり出す。1960年代のベトナム戦争時のアメリカの若者達から世界に飛び火したヒッピーカルチャーなどの徴兵に反対するムーブメントや仏教ブームの起こりからもマリファナ(大麻) と精神志向、平和志向の繋がりは見て取れる。作品では、女性性を纏う「縫う」彫刻での表現を中心に、映像、インスタレーション、ドローイングなどで展開する。縫う彫刻に表出する「布」や「糸」などの知覚も手がかりに「分断し」「繋ぎ」空間を創出する。

* 医療大麻については、昨今の欧米の研究で癌、アルツハイマー、リウマチなどによる疼痛、小児癲癇、等280種以上の病に効果が期待できるとされているが、もともと中国の「神農本草経」やインドのアユルベーダなどの4000年前の医学書からその効能が書き継がれている。日本でも戦前までは印度大麻チンキやぜんそく煙草などの呼称で庶民に親しまれていた経緯がある。

武田海


武田海 個展『 Loud Majority 』


■会期:2017年11月17日(金)– 12月4日(月)
■休廊日:火・水・木 ※23日(木祝)は開廊 
■時間:13:00 – 19:00

■レセプションパーティー
11月18日(土)18:00 – 20:00

■トークイベント
11月23日(木祝)18:00 – 19:30
武田海 × 毛利嘉孝(東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授


【武田海 プロフィール】
東京大染織科を修了後、作家としての経歴は1999年スペイン留学時代から始まる。社会問題と個人的表現の間に接点を見出し制作の幅を広げた。独自の素材という観点から日常的(社会的)な素材に手当たり次第着目し制作に結びつけてきた。帰国後2007年からは縫うという行為に着目し、人体表現をベースに縫った素材による布の彫刻を続けている。

1972 東京生まれ、1997 東京藝術大学大学院染科専攻修了、1999 マッサーナ美術学校(バルセロナ)。1998~2005 スペインに移住、バルセロナを拠点に、スペインの各都市、また欧州各地で作品を発表、2006 帰国。

[主なグループ展]
2012 「第15回太郎賞」(岡本太郎美術館、神奈川)、2011 「TAMAVIVAN II 2011」( 多 摩美術大学、パルテノン多摩展示場、東京)、2005 「バイスビエンナーレ」(バイス現代美術館、 スペイン)、2005 「ヴィックビエンナーレ」(カジノ、バルセロナ、スペイン)、2005 「Video Creacion」(ベルン現代美術館,スイス)、2003 「Miradas Oceanicas」(ヴィーゴ 現代美術館、ガリシア、スペイン)、2003 「Michelangero Pistoletto & Cittadellarte」(アントワープ現代美術館、ベルギー)、2003 「Discursion desviada」(カルドレ、オポルト、ポ ルトガル)、2003 「Artemergencia」(ジローナ国際演劇祭会場、ジローナ、スペイン)、 2000 「Generacion 2000」(マドリッド銀行主催、マドリッドを始めスペイン6都市を巡回)

[主な個展]
2014「エス」(ストライプハウスギャラリー(ホール)、東京)、2013 「IDEA」( ストライプ ハウスギャラリー、東京)、2010 「Play」(ギャラリーFURUYA、東京)、2004 「Melting P」 (ProyectoSD ギャラリー、バルセロナ、スペイン)、2003 「Retal」(サンチアゴコンポステーラ大学教会堂、ガリシア、スペイン)

[主な選出]
2012 「第15回太郎賞」入選 岡本太郎美術館 神奈川、2003 「アートインレジデンス CITTADELLARTE ピストレットファンデーション」イタリア、2002 「ミゲルカサブランカ賞」 名誉賞 バルセロナ、2001~03 「アートインレジデンス Hangar」バルセロナ、2000 「2000 世代展マドリッド銀行」彫刻部門大賞 マドリッド、1999 「若手クリエーターコンクール99 カタルーニャ」入選 バルセロナ

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