去る2月18日、春一番は吹いたけれどまだ夜の冷え込みが厳しい地下室に、6人の男たちが集まりました。
赤木仁さん、越前谷嘉高さん、椚田周和さん、黒須信雄さん、橋本倫さん、吉川陽一郎さん。
いずれも実力と豊富なキャリアを兼ね備えた、一癖も二癖もある手練れのアーティスト。
この錚々たる顔ぶれが一堂に会したのは、ほかでもありません、「連画」をやるためです。
連画とはなにか。
例えば、日本の詩歌のユニークな特徴として、連歌や俳諧など集団で制作する表現様式があります。複数人で座を囲み、他人の詠んだ歌に自分の歌を付け加えていく。
連画とは、これをイメージの領域に応用した試みだと、ひとまず言うことができます。
同種の試みは、これまでにもいろいろ行われており、そのやり方も様々です。
昨年4月に足利市立美術館で、黒須さんの企画した『連画のいざない』という展覧会が開催されました。
細かな作法は略しますが、それは10人の画家が別の人の描いた絵に繋がるように制作して、横へと水平に展開させていくものでした。
「連画のいざない」(2016年)
その続編となる今回は、少し趣向を変え、レイヤーとして上へ上へとイメージの層を積み重ねていきます。
ライトボックスになっている作業台の上に置かれたトレーシングペーパーの束。
これに用意された画材を自由に使って、6人が順番に1枚ずつ絵を描いていきます。
各々与えられた持ち時間は1枚につき2分間で、この日はまず手始めに約3時間かけて計78枚のイメージが描かれました。
下から透けて見える絵に触発されながらイメージを変奏させていくというのは、実際やってみると、適度な緊張感と遊び心の入り混じった無類の面白さがあり、そのプロセスは時にちょっとしたドラマのようでもありました。
これからこのセッションを何度か行い、最終的には500枚のイメージの層を作り上げる予定です。そして、その成果はおそらく5月の連休あたりに披露できるのではないかと思っています。
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