藤井マリさんと本田ヨシ子さんの即興によるコラボ企画の第1弾。
初回のゲスト・アーティストは山田裕子さんです。
地下室全体を縦横に使い、お客さんも一緒になって移動しながらの上演となりました。
藤井さんの踊りは、未知の世界に迷い込んでしまい、戸惑いながら彷徨うアリスの姿そのもののようでした。
実際、リハもなしに全くのぶっつけで踊る地下室という空間に対して、藤井さん自身、多少まごつくこともあったようで、踊りながら懸命に場を走査し把握しようとする様が、そんな印象を与えたのかも知れません。
本田さんの清澄な声はがらんどうの地下室によく反響しながらも、程のよい間で発せられるために、かえって静謐さを強く意識させる効果をもたらしていました。今回はシンプルなナマ声でしたが、2回目以降どんなヴァリエーションを聴かせてくれるか楽しみです。
一室にガーリーな絵柄がプリントされた布をインスタレーション風に展示した山田裕子さんは、パフォーマンスでも藤井さんにがっつり絡んでいました。
猫の仮面をつけていたのは、アリスの道行に介入するチェシャ猫といった役どころだったのでしょうか。
終盤、たくさんの目覚まし時計が一斉に鳴り出し、アリスは無事に夢から醒めたようでありました。
パフォーマンスの余韻もあってか、上演後の宴もどこか不思議な雰囲気でした。
お客さんとして来ていた中世古楽器の演奏家が、興に乗って、持参したハーディ・ガーディを奏ではじめると、その場にいた人たちがわらわらと踊り出し、フルートの演奏も加わって、いつまでも憑かれたように踊り続けておりました。
来月は大野英寿さんによる映像とのコラボレーションになります。
PR