当日は台風襲来とかち合ってしまいましたが、なんとか敢行。
地下室の仕切られた空間をうまく利用し、三部構成の出し物それぞれでステージとなる場所を変えていたのが試みとして面白く、三組の演者の質はいずれも高くて、バラエティに富んだプログラムでした。
■コーラ (voice)+レンカ (dance)+めみハーロ (dance)音楽は一切用いず、コーラさんのポエトリー・リーディングだけで、レンカさんとめみハーロさんが踊りました。
地下室中央の二間を舞台として使い、薄暗がりの奥の方で2人が昆虫のように縺れあいながら踊るのを、狭い間口越しに覗き見たりと、奥行を活かした巧みな演出には感心。コンテンポラリーっぽいキレのいい踊りとコーラさんの抑揚のない発声がよく合っていてクールでした。
レンカさん、めみハーロさん
コーラさん
■坂口諒之介 (弾語り)今回のイベントがなければおそらく出会うことはなかったろうと思われる若き逸材。
彼のアコースティックギターの弾語りは、音楽も歌詞も人柄も痛ましいくらいの脆さと純粋さを孕んでいて、その無垢な歌声に耳を傾けているとなぜだか申し訳ない気分になってくるのですが、ときにパワフルで線の太いところも垣間見せ、不思議とアンダーグラウンドな世界に親和するものを感じさせるのでした。
■大岩巌 (舞踏)+井上史朗 (l-ba)+にら (l-gt)にらさんのギターと井上さんのベースが奏でるノイズの中に大岩さんが現れるや、あたりを払う威容でたちまち場を掌握してしまうのを目の当たりにし、優れた舞踏に不可欠なのはこの圧倒的な存在感なのだと、確信めいた感慨を覚えました。
大岩さんの舞踏は、「踊る」というよりその一挙手一投足が、服を脱ぐという所作すらが、踊りに「なる」という感じで、きわめて正統的な舞踏を拝見させてもらったという気がしました。
大岩巌さん
井上史朗さん、にらさん
■小久保碧 (ランプシェード)そして、これらすべての演目に、小久保碧さんの陶製のランプシェードが舞台美術としてうまく使われていました。
多孔質の大小さまざまなランプシェードを配置するだけで、絶妙な雰囲気を作り出していたのはお手柄でした。
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※印以外は池田敬太さんの撮影です。
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