管見によれば、今井さんの本領はやはり写真のコラージュにあります。
これまでの作品は、サイズも大きく、複雑な工程を経て何層にも写真が重ねられ、バロック的なイメージを作り上げていました。
「On the earth 八咫烏」それが事故以来、今井さんの持ち味でもあった過剰さ、巨大さへの指向に少し変化が出てきたようで、この展覧会の少し前から小さなコラージュ作品を作り始めるようになりました。
1枚の写真素材を基に、ごく単純な操作によって構成されたそれらの小品が、息を呑むほどに美しいのです。まさに怪我の功名というべきか。
例えば、この直径30センチほどの作品などは、おそらく橋を渡る車の中から撮影された写真を基にしていますが、ソリッドな美しさに眼を奪われ、一見したところでは何を撮ったものかわかりません。さらに細部に眼を凝らすことで、そこにミクロコスモスの広がりを認め、感嘆を新たにすることになります。
これら珠玉の小品は
「World Piece」と名づけられています。
断片としての世界。
シンプルでありながら、曼陀羅的ともアラベスク的とも万華鏡的とも形容し得るような豊かなヴァリエーションを生み出しています。
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