おかげさまで「ポエトリー・イン・ダンジョン vol.1 直角はありません」は、連日盛況のうちに会期を終えました。たくさんの方にご来場いただき、ありがとうございました。
引き続き、4日目のイベントからご報告します。
広瀬大志さんのリーディングは、宇野和幸さんとのコラボ作品の前で行われました。
壁から文字が滲み出てくるような殺伐とした絵の前で、恐怖を煽るような演出は必要ありません。声の抑揚と強弱だけで、広瀬さんは聞く者に沁みいるような凄みを感じさせていました。
ついで、そらしといろさんのリーディング。
ケレン味のない素直な朗読には清新な魅力があって、シンプルながらもことのほか感銘を受けました。
そして、永澤康太さんのボイス、山川英毅さんの自作楽器などの演奏、玉塚充さんのパフォーマンスという豪華版。
永澤さんの近年の詩は、声に出すことを前提に作られています。
永澤合唱団をはじめとするその声の実践は、音楽的に洗練させていくというより、発声することへの素朴な喜びが感じられます。
この日はラップが中心。山川さんの応変な伴奏と玉塚さんの奇矯なパフォーマンスを得て、のびのびと思う存分に声の妙技を披露してくれました。
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最終日もヴァリエーションに富んだラインナップでした。
最初はタカユキオバナさんのリーディング。というよりこれもパフォーマンス。
美術家のオバナさんに朗読を依頼したのは、その作品にしばしば「音(おん)」というものが重要な要素として扱われているからです。
地下室の入口で、記紀神話に由来する「おのころ」という言葉を朗誦すると、オバナさんは床に這いつくばり、客席のある一番奥の部屋に向かって、丸まった包帯に息を吹きかけ始めました。
転がる包帯はやがて一筋の白い線をつくり、この息の軌跡こそがオバナさんの「朗読」なのでした。
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川口晴美さんは緑色のウィッグをつけて登場。
詩の綴られた細い紙を、あたかも蜘蛛が巣を作るように部屋に貼りめぐらせながら、透明感のある声で朗読されました。
川口さんは、地下室に幽閉されたとおぼしき詩人が詩をしたためていたという設定でインスタレーションを展示しており、その展示空間の中に自ら入り、登場人物としてリーディングを行うことで、作品を完成させたのでした。
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大トリは、石田瑞穂さんの朗読に、Aramの村岡佑樹さんと野澤夏彦さんのツインギター、それにレンカさんの踊りが加わります。
即興でありながら、声と音と身体という3つの要素が過不足なく混じりあう見事なアンサンブル。最後を飾るにふさわしい、見ごたえ聞きごたえのあるステージとなりました。
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(※は池田敬太さん、※※は言水ヘリオさんの撮影です)
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