本展はアニメーションや映像にまつわる展覧会である、とひとまず言うことができます。
そもそもは、松本力さんとアニメーションをテーマにした展覧会をやろうと話したことがきっかけでした。
ただコンテンツとして映像をみせるのではなく、展示としても成立するような作品をつくる人、ということを考慮したすえ、やってくれることになったのがこの5名です。
松本力さんはローテクを駆使した手描きアニメーションを作る無類の存在。
永岡大輔さんは、ひたすら鉛筆で描いては消すドローイングを記録した映像作品で知られ、最近は「球体の家」を作るというプロジェクトに取り組んでおられます。
MakotoさんはCGのディレクターですが、作家としては紙を折って作ったユーモラスなオブジェやモビールなど、本職とは一味ちがう制作活動をされています。
音楽家の湯川静さんと映画研究家のMurderous Inkさんのコンビは、作家と呼んでいいのかわかりませんが、以前地下室で上映した映像作品がとてもよかったので、今回初めてとなるインスタレーションを委嘱しました。
アニメーションや映像という企画でこの人選になることはまずないだろうと思われ、展示もこのカテゴリーからこぼれて、美術や音楽や建築などへと越境することが予想され、なかなか面白いことになりそうです。
タイトルの『最終散乱面』というのは永岡さんの発案。
この言葉の意味について、詳しくは
ウィキぺディアを参照してもらうとして、ものすごく端折って言うと、この宇宙において光などの放射エネルギーが届くことにより観測可能となる領域を指すらしく、映像が投影された地下室のイメージともダブって、壮大なスケールで想像をかきたてられます。
最終散乱面
ー地下室のアニマー
Last Scattering Surface
Anima in Dungeon
永岡大輔
Makoto Sugawara
松本力
湯川静 & Murderous Ink
2018年11月10日 – 25日 土日のみopen
13:00 – 19:00
【イベント】
各日17時より
18日 ライブ : 湯川静 & Murderous Ink
VOQ + 松本力
25日 トーク : 永岡大輔「球体の家プロジェクトについて」
【プロフィール】
永岡大輔1973年山形県生まれ、東京都在住。Wimbledon School of Art修士修了後、国内外にて個展・グループ展による発表多数。
記憶と身体との関係性を見つめ続けながら、創造の瞬間を捉える実験的なドローイングや、鉛筆の描画を早回しした映像作品を制作する。制作の痕跡が意図的に残される作品は作者の記憶ばかりではなく、失われた時間の痕跡としての余韻を空間にもたらす。また、平面や映像作品以外にも、朗読体験を通して人々の記憶をつなげるプロジェクト『Re-constellation』による公演や、現在では、新しい建築的ドローイングのプロジェクト『球体の家』に取り組むなど、様々な表現活動を展開している。
永岡大輔HP松本力1967年、東京生まれ、在住。多摩美術大学美術学部GD専攻卒業。
一コマずつのドローイングに透過光を加え、撮影するアニメーションで、絵による映像表現を目指す。
異ジャンルのアーティストとのコラボレーションも多く、特に音楽家「オルガノラウンジ」「VOQ(ボック)」と、映像と音楽のライヴを行う。国内外での作品展示や、手製映像装置「絵巻物マシーン」シリーズのワークショップを商店街や病院、学校などで積極的に実施している。
松本力HPMakoto SugawaraフリーCGディレクターとして、CM、ゲーム、映画等のCGを数多く手掛ける一方、プロジェクター、タイプライター等を使用したインスタレーション作品の製作、ペインティング等、幅広い作家活動を続ける。 Ars Electoronica、hiroshima animationfestival、等の国際フィルムフェスティバルの出品経験も多い。
Instagram : photomakoto湯川静音楽家。レーベルCUCURUSS主宰。同人誌『ビンダー』を編集・発行。
http://yukawashizuka.tumblr.com/レーベルCUCURUSS Murderous Ink映画研究者。ハリウッド映画史のパースペクティブを描き直すイベント『UNKNOWN HOLLYWOOD』を不定期で共同主催。
Murderous Inkさんの映画研究ブログ