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地下室ブログ

板橋にある地下スペース「アートスタジオDungeon」で開催する展覧会やイベントの情報を発信します。

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歌舞伎町俳句一家・屍派「公開忘年会」

遅ればせですが昨年最後のイベントのご報告です。

当日までなにをやるのか誰が来るのか皆目わからず、詩のイベントなのにただの忘年会になる懸念もありましたが、ちゃんと句会をやりました。

トーナメント方式の席題句会で、屍派の初代チャンピオン決定戦。
スネや手首に傷のありそうな有象無象の輩がわらわらと集まり、木内龍さんの手慣れた進行で、鍋など囲みながら和やかに句会が行われました。みなさんカジュアルに句作を楽しみながらも、講評や意見を聞いているとかなりシビアで的確、俳句への高い意識がうかがえます。

諸般の事情により、句会の詳細をお伝えできないのが残念ですが、トーナメントの優勝者は最後に北大路さんと対決し、みごとハルさんが初代チャンピオンの栄冠を手にしました。






屍派というのは、おそらく句会の常連でも自分を構成員だと思っていない人が多く、メンバーは流動的で時期により中核となる人物が移り変わりながら、結社とはまた趣の異なるかたちで、ゆるやかにしたたかに継続しています。

思えば、北大路さんが最初に地下室に登場したのは、2012年に「SM俳句パフォーマンス」をやったとき。その頃はまだ屍派は存在せず、北大路さんも「砂の城」の城主ではありませんでした。感慨深いです。

※※


ささやかながら展示もありました。
屍派をその初期から撮っている秋澤玲緒さんの写真と、木村哲雄さん、武田海さんの近作のドローイングが花を添えてくれたのは望外の喜びでありました。








動画は、使えないところが多過ぎて尺が短くなってしまったので、特典映像として去年のハロウィンにやった吟行の記録も付けました。ご笑覧ください。




(※の写真は関根正幸さん、※※は秋澤玲緒さんの撮影です)


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Che-祀-Art『思いを祀る』動画公開

Che-祀-Artの公演『思いを祀る』の動画を公開しました。
17分ほどのダイジェスト版になります。
ご高覧いただければ幸いです。





ながさわ合唱団「これからのことばたちへ」ご報告

「ながさわ合唱団」を主宰している詩人の永澤康太さんは、非常な好青年でありますが、ある意味とても野蛮な人です。
歌うことの可能性を、既成の考えにとらわれず一から自分なりに追求し、大胆なまでに未踏の領域へ踏み込んでいきます。
技術的な洗練ということにあまり関心がないため、一見したところユルくて生硬未熟に感じられるかもしれませんが、その活動は独自の境地に達した比類のないものだと思います。
メンバーもそんな永澤さんの温厚篤実にして蛮勇さを兼ねそなえた人柄に惹かれて参加されているのがよくわかります。

8年の活動歴を持つ「ながさわ合唱団」には、一説には200曲のレパートリーがあるとも言われており、この公演では定番の曲に加え、メンバーがそれぞれ新曲を持ち寄りました。
なかでもとりわけ興味深かったのは、関口文子さんの「石のおまつり」という曲。
本番までメンバーはそれがどんな曲か知らされておらず、ステージで初めて教わって歌うという趣向になっていました。
合唱団の曲には楽譜がありません。なので、関口さんから歌詞を渡され、口伝てにメロディを聞いて、その場で習得することになります。フレーズを何度も繰り返し、曖昧なところは他のメンバーの意見も取り入れつつ曲が仕上げられていき、最終的にはお客さんも一緒になって歌いました。
そのプロセスは、きっといつもこうやって練習しているのだろうと思わせ、「ながさわ合唱団」の肝の部分を垣間見たような気がしました。


左からカニエ・ナハさん、関口文子さん、山田亮太さん、永澤康太さん

今回はゲストとして「円盤に乗る派」を率いる演出家のカゲヤマ気象台さんが参加。
あえて普段あまり使うことのない映像で関わってほしいと、永澤さんから依頼されたとのことで、カゲヤマさんは合唱団の練習風景などを撮影して20分ほどにまとめ、幕間に上映しました。その映像作品は、手軽に編集されたようでそのじつ周到な味つけがほどこされ、見事に合唱団のエッセンスを汲みとっていました。
また上映中、カゲヤマさんはほのかな甘みのするモロッコのお茶をお客さんにふるまってくれました。


ゲストのカゲヤマ気象台さん(左)も数曲参加



この公演を、永澤さんは第1期の締めくくりと位置づけているそうです。
最後の曲では、これまですべてアカペラだった合唱に、初めて打ち込みの伴奏がつけられました。
今後どうなっていくのか、展開が楽しみです。



(写真は関根正幸さん)

「思いを祀る」ご報告

第1部は、チェサという行事の形をとりつつ観客をも巻き込んだ、すぐれて演劇的なパフォーマンスとなりました。



舞台ではチェサが行われています。
本来写真などが飾られる場所には、赤いフレームだけがぶら下がり、下手にチョゴリを着た少女、上手に悲嘆にくれた様子のやはりチョゴリ姿の男性が座り、もう一人、喪服姿の男性が舞台の袖に立っています。

少女は幼少の思い出を語り、ついで喪服の男性が高校無償化裁判に関するコメンタリーを淡々と読みあげます。
そこへ「조선의 노래 (朝鮮の歌)」「고향의 봄 (故郷の春)」「아리랑 (アリラン)」「봉선화 (鳳仙花)」といった、学校で習う誰もが知っている歌や、時代を象徴する歌が挿入され、観客が1人ずつ前へ誘導されて正式な作法に則ってクンジョル(大礼)をします。

少女のモノローグは小学1年生から高校にいたるまで11回繰り返され、それに続いて裁判についてのコメンタリーと歌と観客によるクンジョルも同様に反復されます。


鄭柚奈さん(少女役)と崔誠圭さん(父親役)


千菻華さん(歌)と李龍午さん(演奏)

察しのよい観客は、チェサがこの少女を祀るためのものであり、悲嘆にくれる男はその父親なのだ、と気づくでしょう。しかし、最後にこの構図は反転されます。少女は客席に向かって赤いフレーム越しに「この額縁の中にいるのはあなたたちです」と表明して劇は終わります。



そもそもこの企画は、在日コリアンにおける朝鮮語(の詩)というテーマでなにかできないかと相談したところから始まったのですが、在日の人たちにも様々な立場があり、朝鮮語に対してアンビバレンツにならざるを得ない複雑な状況があることを知りました。
そして、こちらの安直な発想は換骨奪胎され、紆余曲折を経て、「自分たちにとっての詩とは、高校無償化裁判の判決文である」という解釈のもと、このようなパフォーマンスに結実したのでした。

崔誠圭さんが参加者の思いを書いた短冊を炊き上げて第1部は終了。

第2部では、舞台に供えられたニラやタラのチヂミ、もやしやほうれん草のナムル、タコ、イシモチの塩焼き、小豆の蒸し餅、果物などをとりわけて、みんなで頂きました。
これらの料理のほとんどは、メンバーのオモニたちが作ってくれたものです。おいしかった。




宴会の座興で、劇中の歌を担当した千菻華さんが「チョゴリ」という歌を披露してくれました。
悲しい歴史を持つチョゴリは祖国と故郷へ飛ぶための羽なのだと歌う、その美しくも切ない歌詞を書いたのは、他ならぬ今回演出を手がけた朴成徳さん。17年前に作られたこの曲は、今も連綿と歌い継がれているそうです。



Che-祀-Art「思いを祀る」

「ポエトリー・イン・ダンジョン vol.2」の先陣をきるイベントの詳細が決まりましたので、お知らせします。

在日コリアンのアーティストたち「Che-祀-Art」(ちぇさあーと、と読みます)によるパフォーマンス公演「思いを祀る」。
前述のように、チェサ(祭祀)という形式をとりながら、在日コリアンの来歴や状況を、言葉だけでなく音楽や美術、映像をとりまぜて上演し、それぞれの思いを祀ります。

実際に、本格的なチェサ料理も再現されるようです。チェサで検索して写真などを見てみると、そのお供えされるご馳走の数々は壮観。

ご来場の皆さんにも、思い思いの言葉や物を持ち寄ってもらい、お供えされた料理を一緒に食べながら語り合う、そんな夕べにしたいそうです。


■Che-祀-Art プロデュース公演

「思いを祀る」


【日時】
2019年12月8日(日)

16:30 開場
17:00 第一幕 祀る 
18:30 第二幕 食らう 
    チェサ料理パーティー

持ち込み、差し入れ大歓迎です!
またカンパなどをいただければ幸いです。


1.あなたの祀りたい言葉や出来事、物などを準備してください。
2.書き込み、持ち寄って会場に祀ります。
3.チェサに参加し、クンジョル(お辞儀)をしてもらいます。
4.チェサのごちそうを食べ、語り合いましょう。


在日コリアンは自分たちの先祖を懐かしみ、親族の絆を深める祭祀(チェサ)を大事に続け、子や孫へ繋げてきました。
その根底には祖霊への畏敬の念だけではなく、天地万物への、生命への感謝を表する意味が込められていたはずです。
人間の死後の魂を祀るだけではなく、今現在を生きる人々にとっての安寧と幸せを祈る儀式(ceremony)としてのチェサ。
チェサという「非日常」の場に皆が「親戚」として集まり、思い思いのものを祀り、語り合う事で天に返す。
今現在に生きる自分たちの言葉や物、思いを祀り、咀嚼し、飲み込み、親戚や友人としてチェサで語り合いましょう。


企画: 崔誠圭
演出: 朴成徳
音楽: 李龍午
歌: 千菻華
美術: 鄭柚奈、崔誠圭







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